【目次】
・「告知義務」ってなに?
・「事故物件」の告知義務は?国土交通省の定義も始まる?!
・二人目以降の入居者には告知しなくてもよい?

■「告知義務」ってなに?

 「告知義務」ときくと、難しい言葉のように感じますよね?
簡単に言うと、「それを先に聞いていたら選ばなかったのに」というような、物件選択の判断に影響を及ぼすような内容は事前に告知しましょうということです。
 例えばこのようなケースです。
・学校が近いため、昼間は子供の声が近隣に響く
・近隣に工場や飲食店があり、騒音や匂いなどが発生する
・建物の不具合、劣化 等々
 昼夜逆転の生活をしている人にとって、睡眠時間である昼間に校庭ではしゃぐ子供たちの声は不快に思うかもしれません。子育て中や持病を持っている人にとって、工場が近いのは環境的に心配です。せっかく夢のマイホーム!と思って購入した物件が住んでみたら雨漏りしたらどうでしょうか。
つまり、実際に住んだ後のトラブルを避ける為に、告知すべきことは事前にきちんと相手に伝える必要がある。それが「告知義務」になります。

■「事故物件」の告知義務は?国土交通省の定義も始まる!?

 事故物件であるかどうかについて聞かされていなかった場合、入居後にトラブルになることが容易に想像することができます。ということは、事故物件であることは告知するべきだといえます。もちろん、告知義務に違反した場合は罰則等の規定もあります。
 しかし、「事故物件」かどうかを判断するための基準は設けられていないため、人が亡くなった物件=故物件ではあるが、亡くなり方や発見までに要した時間によっては事故物件と判断されない場合もあります。
 例えば家族に看取られて病死した場合や、孤独死が発生したものの早期に発見されたケースなどがそれにあたります。

 ここで問題です。
「事故物件」として、告知するかしないかの判断は誰がすると思いますか?
答えは、事故物件の所有者と委託された不動産会社です。

 先ほど「告知義務」について記載しましたが、その発生した内容が「物件選択の判断につながると思われる内容」なのかどうかは、個人によって判断が分かれる可能性があります。
また、「できる限り事故物件にはしたくない」という心理の中で判断される為、より告知義務の信憑性が問われています。
 そのような中、2020年1月31日の産経新聞に、国土交通省が事故物件のガイドライン作成に乗り出すという内容の記事の内容があがりました。

転載:産経新聞 殺人や自殺、建物の「事故物件」に告知指針 国交省作成へ

 事故物件は、床に傷がついているなどの分かりやすい不具合とは異なり、「人が自殺した」「殺人がおきた」などの嫌悪感をいだきやすい物件をさします。嫌悪感を抱くレベルには個人差があるため、告知するかどうか迷ってしまったり、「きっと大丈夫だろう」という自己判断のもと告知しない場合も少なからずあったのではないかと考えられます。
そういった意味では事故物件のガイドラインは必要だと思います。
 しかしながら、気をつけなければならないこともあります。それは、住宅確保困難者と呼ばれる高齢者・障害者・外国人労働者への配慮です。たとえば孤独死が事故物件と判断された場合、今以上に一人暮らしの高齢者や障害者の賃貸への入居は困難になるでしょう。そういった場合の対応なども含めてのガイドラインの作成が不可欠です。成仏不動産としては、国土交通省の今後の動向を追っていきたいと思います。

■二人目以降の入居者には告知しなくてもよい?

 不動産所有者様からの質問で「事故物件の場合、一人目の入居者には告知する必要があるが、二人目以降の入居者には告知する義務はないですよね?」という内容を聞かれることがよくあります。実際に不動産のプロである不動産会社でさえも、そのように認識している人が多いと感じます。
この質問に対して私たちはこう答えます。
「告知したほうが良いでしょう」
 前述の通り、告知する必要があるかどうかの判断は、「物件選択の判断につながる内容かどうか」である為、2回目だろうと、3回目だろうと、そこに住んだ方が事前に知っておきたかったという内容であれば事前に告知しておいたほうが良いと考えられます。
 では、なぜこのような通説が存在するのでしょうか?それは、過去の判例が影響していると言われます。
 ある不動産オーナーが、所有するアパートで自殺してしまった借り主の遺族(連帯保証人)に対して損害賠償請求を行った裁判があります。オーナーの主張は「今後当該アパートの全部屋について、賃貸募集をする際には永久に入居希望者へ自殺があったことを伝えなければならなくなった。そうなると誰も入居してくれないのでその損害賠償をしてほしい」というものでした。この「永久に」がポイントです。これに対して裁判官は、「自殺があった部屋にのみ告知義務はあり、一人の入居者が入ればその次の入居者にまで告知する必要はない」という見解のもと損害賠償額を決めたのです。永久に説明し続けると膨大な金額になってしまうこともあり、こうした見解がなされたのだと思います。ただ、こちらはあくまでも損害賠償額を決めるための判例であり、告知義務についてではありません。以上のことからも、二人目以降の入居者には告知しなくてもよいというのは正しくはなく、告知したほうが良いという結論となります。

 事故物件にまつわる告知事項の真実についてお伝えしてきましたが、読んでいらっしゃる方の中には初めて知る事実もあったのではないでしょうか。様々な情報が溢れている世の中ですが、正確な情報を掴んで物事を判断していきたいですね。
 そして、実際に発生した内容を正しく告知し、その内容に応じて区分けすることで入居者が納得して住める環境をつくっていく。将来的にはそれが「事故物件」のマーケットを整備することに繋がっていくのではないでしょうか。
 成仏不動産では区分分けの大切さを早くから認識していたため、オリジナルの区分けを考え提唱しています。こちらについての詳細はコラム3を御覧ください。

次回は「事故物件」にある「孤独死」って何?全国推計年間3万件の「孤独死」についてお伝えします。