売却を検討している方へ!マンションが事故物件に該当するケース
2023年5月16日
マンションで不幸があったけど売却できるのだろうか、事故物件に該当するのはどんな場合か?売却価格はどれくらい下がるのだろうと、気になっている人はいるのではないでしょうか?
マンションが事故物件に該当するケースは、物件内で過去に人が亡くなっている、建物が自然災害などで浸水している、暴力団事務所や宗教団体の施設が入っているなど、心理的に不安や恐怖を感じる物件のことをいいます。
この記事では、事故物件に該当するケース、該当しないケースや売却するにあたって、どの程度価格が下がってしまうのかを含めて、詳しく解説します。
マンションを売却したいけど、どういったケースが事故物件に該当するのかを知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
マンションが事故物件に該当するケース
マンションが事故物件に該当するケースは、住むにあたって、心理的に不安や恐怖を感じる物件かどうかです。
具体的には「この物件は過去に人が亡くなっているから住みたくない」と、何か起こるのではないかという不安になる気持ちです。
または、暴力団事務所や宗教団体の施設が入った物件など「抗争などに巻き込まれるのではないか」「変な勧誘されるのではないか」という恐怖の感情を持つことです。
こういった心理状態を引き起こす物件が事故物件に該当します。具体的なケースとしては、以下になります。
・居住者が自殺した場合
・居住者が孤独死した場合
・居住者が殺害された場合
・居住者が火災で亡くなった場合
・室内が浸水した場合
・共用部分が浸水した場合
それぞれ解説します。
心理的瑕疵がある場合
心理的瑕疵(かし)の瑕疵(かし)は欠陥や不具合という意味で、住むにあたって不安や恐怖を感じることをいいます。
過去に物件内で人が亡くなった履歴があり、気味が悪い、怖いなど、心理的にこの部屋には住みたくないと思う心理状態をあらわします。
亡くなったケースのほかにも、近くに墓地や火葬場、ゴミ処理場などの嫌悪感のある施設や、暴力団事務所、宗教団体などの迷惑にあたる施設も心理的に嫌だ、怖いという感情になるため、このケースも該当します。
こういった心理的な不安や恐怖のことを、心理的瑕疵(かし)といいます。
居住者が自殺した場合
居住者が自殺した場合は、基本的には事故物件にあたります。「基本的には」というのは、自殺の場合はどこで亡くなったかにもよります。
部屋で自殺をした場合は、まちがいなく事故物件になりますが、日常生活で通常使用しない場所や隣接する部屋の場合は、告知しなくてよいとされています。つまり、事故物件にはあたらないということです。
これは、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の「ガイドラインのポイント 告知について①」で示されています。
事故物件にあたらない場所での自殺といっても、情報が広まってしまえば、売却価格に影響が出て売りづらくはなってしまうでしょう。
居住者が孤独死した場合
近年はお年寄りの孤独死が増えており、社会問題になっています。国土交通省の統計データによると、東京都での孤独死は増加傾向にあり、2018年は5,513件で、そのうち約7割は65歳以上の高齢者になります。
また、死因の60%が病死です。孤独死は発見されるまでの日数が長く、亡くなってから時間が経ってしまうと、遺体の跡や床に痕跡、室内に臭いが残ります。
痕跡や異臭が発生してしまうと、通常の清掃では落とせず特殊清掃が必要となります。特殊清掃が必要となると事故物件扱いとなります。
死亡後の発見が早く、痕跡や臭いなどが残らずにすみやかに遺体が移送された場合には、事故物件にならないことがあります。
居住者が殺害された場合
居住者が殺害された場合にも大きな風評被害があることから、建物全体のイメージダウンに繋がり、事故物件扱いになります。
周辺の部屋の居住者も心理的不安から離れていくことも考えられますので、不動産オーナーにとってはおおきな打撃を受けてしまうでしょう。
居住者が火災で亡くなった場合
火災で亡くなった場合では、詳細な要因を考慮して、どの程度下がってしまうのかという減価率が決まります。
亡くなった状況が自殺か不注意かという状況と、室内の損傷状況、ぼや程度なのか全損なのかの状況で決定します。
室内が浸水した場合
これまでは、人が関わる状況を説明しましたが、自然災害などでも事故物件に認定されてしまうケースがあります。
台風や洪水などの自然災害で床下、床上など浸水してしまうと事故物件になってしまいます。
減価率は、浸水の頻度や期間、原因によって決まります。
水害の発生が多い地域かどうかは、ハザードマップなどで状況を確認しておくのがよいでしょう。
共用部分が浸水した場合
マンションの共用部分が浸水した場合にも事故物件になります。マンションの敷地やエントランス、駐車場や機械室など共用部分などに浸水した場合が該当します。
浸水によって損害を受けた物件は、適切な調査と修繕を行ったうえで売却になります。
マンションが事故物件に該当しないケース
これまでは事故物件に該当するケースを紹介しましたが、該当しないケースはどういった状況なのかも見ていきましょう。
該当しないケースは、自然死や日常生活の中での転倒事故や誤嚥(ごえん)などの不慮の事故になります。
事故物件に該当しないケースは以下になります。
・居住者が病死した場合
・居住者が老衰で亡くなった場合
・居住者が転落死した場合
・居住者が溺死した場合
・居住者が誤嚥(ごえん)で亡くなった場合
それぞれ解説していきます。
居住者が病死した場合
居住者が病死した場合でも遺体の発見が早く、建物に影響を与えない場合は事故物件になりません。たとえば、病気で通院しながら、物件内で家族に看取られて死亡した場合は事件性が低いとの判断になります。
また、物件内で倒れて、搬送先の病院などで死亡した場合は、死亡した場所が病院となるので、事件性や心理的瑕疵(かし)がほとんどないため、事故物件には該当しません。
死亡から72時間以上経ってしまった場合は、遺体の腐敗が進んでしまうので特殊清掃が必要となり事故物件になってしまいます。
居住者が老衰で亡くなった場合
老衰で亡くなった場合は、病死と同様に自然死として扱われます。国土交通省のガイドラインで、病気や老衰による自然死は申告しなくてよいということで、事故物件には該当しなくなりました。
ですが、こちらも死後72時間以上経ってしまうと、痕跡や異臭の特殊清掃が必要となるため、事故物件に該当します。
居住者が転落死した場合
転落死は不慮の事故に該当し、事故物件扱いにはなりません。日常生活で自宅の階段からの不慮の事故での転落などは、予想されるものとして告知義務はありません。
また、隣接する部屋や通常使用しない集合住宅の共用部での死亡も告知義務はなしとなっています。
居住者が溺死した場合
入浴中の溺死などは、日常生活において生じた不慮の事故としてこちらも告知義務はありません。足を滑らせての転倒、入浴中に意識がなくなる、冬場のヒートショックなどが該当します。
令和4年12月発表の消費者庁の統計データでは、不慮の事故の79%が浴槽での死亡とのデータがあります。
居住者が誤嚥で亡くなった場合
食事中などの誤嚥(ごえん)で亡くなった場合も、日常生活で生じた不慮の事故として、事故物件には該当しません。
誤嚥(ごえん)とは、飲み込んだ食べ物や唾液などが食道ではなく、気管に入ってしまうことをいい、高齢者に多い事例です。
通常はむせることで体外へ排出されますが、高齢になると排出する力が弱まってしまうため、体外へ排出できずに、窒息して死亡してしまうことがあります。
高齢者がいる方は、お餅による窒息事故が多いため、十分注意するようにしましょう。
マンションが事故物件に該当すると売却価格にどのくらい影響する?
マンションの事故物件は売却することは可能ですが、売却価格を低くする必要があることや売却までに時間がかかることを考えておいた方がよいでしょう。
なぜなら、心理的に不安要素がある物件は基本的には選ばないからです。ですが、心理的影響を気にしない人も一定数いますので、状況によって対応していくようにしましょう。
では、マンションが事故物件に該当すると、売却価格はどのくらい影響があるのでしょうか。事故物件の取り扱い実績が豊富な成仏不動産によると、減価率は以下のとおりです。
・自然死や孤独死の場合、10~20%
・自殺の場合、20~30%
・他殺の場合、30~50%
売却価格は、マンションの立地や築年数によっても変動します。心理的瑕疵(かし)が強いほど売却価格は低くなります。
なお、前述のマンションが事故物件に該当しないケースのマンションでは、基本的に売却価格は値下がりしません。告知義務がない状態であれば、通常の物件扱いになるためです。
事故物件に該当するマンションの売却に関して
事故物件に該当するマンションを売却する場合は、以下のことに注意しておくとよいでしょう。
・国土交通省のガイドラインを確認しておく
・瑕疵(かし)がある場合は、告知義務を果たす
・事故物件を求めている人も存在する
・事故物件の買取実績が豊富な業者を利用する
それぞれ解説します。
国土交通省のガイドラインを確認しておく
事故物件に該当するかは国土交通省のガイドラインを確認しておくようにしましょう。2021年10月8日、国土交通省による「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が発表となりました。
これまでは、心理的な問題は人によって考えが異なるため基準があいまいでしたが、ガイドラインにより事故物件に対する基準が明確になりました。
簡単にまとめると以下のとおりです。
事故物件に該当しない (告知義務なし) |
事故物件に該当する (告知義務あり) |
・老衰、病死(自然死)
・日常生活での不慮の事故 ・隣接する部屋や通常使用しない敷地内の共用部での死亡(自殺や他殺含む) |
・長時間放置による自然死、事故死
・他殺、自殺、事故死 ・孤独死、火災による死亡 |
ガイドラインによると、日常生活における老衰や自然死、不慮の事故に関しては、告知義務はなく、事故物件にはあたりません。
ただし、72時間以上放置され、特殊清掃や大規模なリフォームが生じた場合は、告知義務ありとする事故物件に該当するとされました。
また、賃貸物件の場合は、事故が発生してから3年間は告知義務が生じるとし、売買契約の場合の期間は定められていません。
瑕疵がある場合は告知義務を果たす
瑕疵(かし)がある物件の売買は、売主に「告知義務」があります。告知とは、売主や買主が取引相手に契約目的物の重要事項について告げなければいけないことです。
要は「訳あり物件」ということを正直に告げなければいけません。この告知義務を怠ると、契約解除されたり、損害賠償請求されたりする可能性もあります。
事故物件を求めている人も存在する
事故物件は心理的な問題から敬遠されがちですが、逆に事故物件を求めている人も存在するのも事実です。
事故物件を求める人の割合で多いのは「価格が安いから」という理由で求める人が多いです。実際、一般的な物件に対して20~30%程度低い物件価格になっています。安く住みたいという人にとっては選択肢のひとつになります。
また、事故物件は徹底的な清掃や改修工事が必要になることから、リフォームやリノベーションされることが多いです。
リフォームやリノベーションされてきれいな状態になっていればよいという方にも、選択肢のひとつといえるでしょう。
事故物件の買取実績が豊富な業者を利用する
事故物件を売却するのであれば、事故物件に詳しい不動産、事故物件の取引実績の豊富な不動産業者を利用するのがおすすめです。
通常の不動産会社では買取を断られる場合がありますが、専門業者であれば買取が可能な業者も存在します。
事故物件は業者によって買取価格が異なることもあります。事故物件の査定額の算出方法の違いや、得意のエリアが異なるためでもあります。
専門の業者は、通常の不動産取扱会社とは売却の知識や経験値が異なるため、事故物件専門の業者に依頼するのがよいでしょう。
業者に依頼する際は、弁護士やリノベーション業者、清掃業者など専門分野と連携している買取業者であれば、売却まではスムーズに話が進むでしょう。
まとめ
マンションが事故物件に該当するケースは、心理的な不安や恐怖があるかどうかになります。資産価値としては、自然死の場合は10~20%、自殺や他殺の場合は30~50%も下がってしまいます。
事故物件の売却は相場よりも安くなってしまううえに、一般的な不動産業者では扱えないケースがほとんどです。
ですが、事故物件専門の買取業者であれば、相続に関する手続きや清掃、リノベーションなど、さまざまな問題に対応してくれます。売却できないと諦めてしまう前に、一度相談してみることをおすすめします。