事故物件の売却相場は?相場の調べ方や売却する際の注意点
2023年4月27日
所有している物件が事故物件となり売却を検討しているが、どうすればよいかわからないという人もいるのではないでしょうか。
人の死に関わる事件が起きた事故物件を売却する場合、相場は通常よりも低くなってしまいます。また、依頼する不動産会社によっては買取を断られることもあります。
事故物件をスピーディかつできるだけ高額で売却したいと考えている人には、事故物件の買取実績が豊富な不動産業者がおすすめです。買取だけでなく、特殊清掃やお祓いの依頼にも対応できる業者もあります。
ここでは、事故の内容別の売却相場、事故物件の価格を左右する要因、売却の際の注意点について解説します。
事故物件の売却相場
ネガティブなイメージを持たれることの多い事故物件は、通常の物件と比べて需要が低く、一般的な相場よりも売却価格を低くしないと売れないことが多いです。
立地や周辺環境にも左右されることや、買い手の考え方による部分もあるため一概には言えませんが、具体的にどれくらいの売却相場なのか、事故物件となる理由別に見ていきましょう。
自殺の場合
2010年以降、日本における自殺者は10年連続で減少していましたが、新型コロナウイルスの影響が出始めた2020年は11年ぶりに増加に転じています。年間で2万人を超える人が自ら命を絶っているのが現状です。
自殺による事故物件は、相場よりも約20~30%相場が下がるとされています。
自然死や孤独死の場合
加齢によって身体機能が低下したことで亡くなる自然死や、主にひとり暮らしの人が疾病などで亡くなる孤独死によって事故物件となるケースもあります。
自然死や孤独死の場合は、相場よりも約10~20%の低下となるのが一般的です。
他殺の場合
他殺の現場となった物件は、事故物件の中でもとくに売却しにくいとされています。
殺人事件などの場合は忌避感や嫌悪感を抱かれることも多く、自殺や自然死、孤独死などよりも相場が低めです。通常の相場よりも約30~50%下がるとされています。
事故物件の基準について
物件の瑕疵、つまりその物件の欠点の種類には、心理的瑕疵、物理的瑕疵、法律的瑕疵などがあります。
事故物件かどうかの基準として重要なのは、買い手が心理的瑕疵を感じるがどうかです。以下で詳しく見ていきましょう。
心理的瑕疵とは
「その事実を知らされていたら契約しなかった、もしくは減額を要求した」と買い手が感じる場合に該当するのが、心理的瑕疵です。過去に自殺や殺人、火災、事故などが起こった物件の場合、買い手に不快な思いや嫌悪感を与える可能性があります。
老衰による自然死などの場合は事故物件として扱われないのが一般的ですが、場合によっては心理的瑕疵があるとされることもあります。とくに、遺体が発見されるまでの時間が長く、遺体の損傷が激しい場合などは注意が必要です。
また、近隣にゴミ屋敷がある、近隣住民の中に迷惑行為を起こす人がいる物件も、心理的瑕疵があると判断されるケースがあります。
心理的瑕疵は契約の際に書面で告げる必要があります。「自然死だから問題ない」「このくらいなら大丈夫だろう」と自己判断すると、心理的瑕疵がある事実を知らせなかったとして、後でトラブルとなる可能性があります。
物理的瑕疵とは
建物の物理的瑕疵には次のようなものがあります。
・柱や基礎などの構造部に損傷や欠陥がある
・シロアリ被害の発生
・雨漏りや上の階からの水漏れ
・壁のひび割れ
・耐震強度の不足
・給排水管の故障や劣化
また、土地の場合の物理的瑕疵の具体例は次の通りです。
・有害物質による土壌汚染
・地中に障害物がある
・地盤が弱くて過去に地盤沈下したことがある
・土地の境目があいまい
このようなケースが物理的瑕疵に該当します。
物理的瑕疵も売却の際に告知する必要がありますが、心理的瑕疵とは異なり改善できる瑕疵です。たとえば、専門家による現地調査を行い補修することで、物理的瑕疵がなくなることもあります。
床のキズや壁紙の剥がれなど、日常生活を送るうえで生じるようなキズや摩耗は、物理的瑕疵とみなされないのが基本です。
法律的瑕疵とは
建物を建てる際には、都市計画法、建築基準法、消防法などの法律による制限を受けます。
たとえば、以下のような理由が法律的瑕疵にあたります。
・新築時は適法だったが、現行の法律や条例に適合していない(既存不適格物件)
・開発行為が基本的に許可されていない市街化調整区域内にある
・火災報知器やスプリンクラー、防火扉などがなく、設置義務に違反している
・建ぺい率や容積率をオーバーしている
・購入後に建て替えができない物件である
・接道義務に違反していて再建築できない
法律的瑕疵も、心理的瑕疵や物理的瑕疵と同様に、契約時に書面で説明するのが決まりです。売主や不動産業者による調査不足によって買い手が法律的瑕疵を知らされず、後でトラブルとなることもあります。
事故物件の価格を左右する要因
ここからは、事故物件の価格を決める要因について解説します。
不動産本来の価値
駅からの距離や住環境など、その物件の立地条件は不動産の価値を左右します。
たとえば近くに産業廃棄物処理場や火葬場などがあると価値は低くなりやすく、コンビニやスーパー、医療施設など生活するうえで必要な施設が近いと価値は高くなりやすいです。
さらに、物件の築年数や広さ、間取り、設備なども影響します。不動産本来の価値は、事故物件の価格を決める際の基本となるのです。
物件の状態
自殺や他殺が起きた物件では、床や壁紙に体液や血液、汚物などが付着していることも多く、臭いが染みついていることもあります。亡くなった後に一定期間にわたって発見されなかった自然死や孤独死の場合なども同様です。
事故物件の場合は、特殊清掃を実施して部屋の状態を改善する必要があります。一般的なハウスクリーニングとは異なり、特殊な薬品などを用いて清掃します。清掃によって物件の状態がよくなるかどうかも、事故物件の価格を左右する要因のひとつなのです。
事故の内容
事故の内容も価格を決める要因です。自然死や孤独死よりも、自殺や他殺が起きた物件の方が価格は低くなる傾向です。とくに、他殺の場合は通常の相場の50%になることもあります。
全国的に大きく報道され、話題となった殺人事件が起きた物件は、さらに買い手が見つかりにくい傾向にあり、価格が下がる原因となります。
タイミング
同じ物件でも、タイミングによって価格に違いが出ることもあるのです。価格をあまり下げずに売却したい場合は、タイミングをよく見る必要があります。
売却価格には、そのときの景気に対して市場に関わる人たちがどのように感じているか、さらには政府や自治体による支援制度の状況なども関係してきます。
売却する業者
業者選びは価格にも影響するため、よく考えて選ぶ必要があります。
同じ物件の売却をいくつかの業者に依頼した場合、業者によって価格が違うこともあります。業者による事故物件の査定額の算出方法の違いや、得意とするエリアが異なるためです。
事故物件を豊富に取り扱ってきた業者と、通常の不動産を取り扱う業者では、事故物件売却の経験や知識量も違ってきます。事故物件の売却は、豊富な実績がある専門業者がおすすめです。
売主の希望
「なるべく高く売りたい」もしくは「できるだけ早く売りたい」など、売主によって希望は異なります。
納得のいく価格で売れるまで待てる場合と、そうでない場合とでは売却方法に違いが生じます。たとえば、スピーディに売却したい場合は、値下げが必要なケースもあるでしょう。
事故物件の売却相場を調べる方法
では、実際に所有している事故物件の売却相場を調べるにはどうしたらよいのでしょうか。
具体的な方法を3つご紹介します。
不動産取引情報提供サイトを利用する
不動産取引情報提供サイトは、不動産の相場を適切に把握して取引を行える環境を整備するために作られたものです。
都道府県や地域、専有面積、間取り、築年数、成約時期などの条件を指定すると、その地域における過去の不動産売買の成約価格や価格の推移をインターネット上で確認できます。
不動産取引情報提供サイトを利用することで、自分が所有している物件と似た条件の物件の取引価格を調べられるのです。事故物件の場合は、本来の価値の20~50%ほど低い価格が売却相場となります。
不動産一括査定サイトを利用する
不動産一括査定サイトを使うと、所有する物件の査定を複数の業者に一括で依頼できます。多くの場合会員登録などが必要ですが、無料でサービスの利用が可能です。
適正な売却相場を知り、相性のよい不動産業者を見つけるのにも役立ちます。ただし、複数の業者に査定依頼することで、何度も営業電話の応対をする可能性があることや、不動産一括サイトと提携していない業者に査定依頼できないといった点には注意が必要です。
査定方法には机上査定と訪問査定があります。机上査定は、物件の条件や市場データから簡易的に売却価格を出します。スピーディに売却価格の目安がわかるのがメリットです。机上査定は、実際の売却価格を算出するのではなく、あくまでおおよその価格を把握する手段であると認識しておきましょう。
一方で訪問査定は、実際に担当者が物件を訪問し、その物件の状態を確認して査定します。不動産業者との日程調整が必要ですが、データだけでなく個別の事情も考慮されるため、より適正な価格を知ることが可能です。
買取業者の無料査定に申し込む
物件の売却には、仲介と買取という2つの方法があります。
仲介の場合は、不動産業者に買主をあっせんしてもらい、新たな買主に売却します。買取の場合は、不動産業者が転売を目的として物件を買い取る方法です。
仲介も買取もまずは査定を行いますが、仲介の場合はあくまでも売却価格の予想額となることに注意しましょう。なぜなら、買主は不動産業者ではないからです。
売却の場合は、買取業者である不動産業者が買主のため、査定で出された価格がそのまま売却価格となることが特徴です。売主が価格に納得できれば、査定後の物件売却がスムーズに行えます。
一般的な不動産取引の場合、仲介の方が売却よりも査定価格が高い傾向にあります。一方、売却は仲介よりも早く売ることができるのが特徴です。
無料査定を行っている買取業者もあるため、事故物件の売却に困っている場合は相談してみましょう。
成仏不動産では、出張が必要な査定にも無料で対応しています。
事故物件の取り扱い経験が豊富にあり、心理的な問題によってイメージが下がってしまった事故物件も、本来の価値を見出し、正しく評価いたします。
所有する事故物件の売却方法や査定についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
事故物件を売却する際の注意点
事故物件の売却をスムーズに行うための注意点について解説します。
事故物件であることを隠さないこと
2021年5月、国土交通省が人の死に関する心理的瑕疵の取り扱いについてのガイドラインを発表し、事故物件に関わる基準を設けました。
ガイドラインによって、孤独死や自殺、他殺があった物件は契約の際に告知することが義務づけられています。告知義務が生じるのは、建物内だけではありません。庭やマンションの共用廊下などの共用部も対象です。
告知義務の期間は、賃貸の場合は3年、売買なら無期限と決められています。もし事故物件であることを隠して売却や契約をすると、契約不適合の追及や損害賠償の請求などのリスクが生じます。事故物件であることが発覚して買主が転居する場合、引っ越し費用などの転居に関わる費用を請求される可能性もあるのです。
このようなリスクを避けるためにも、事故物件であることを隠して売却することはやめましょう。
事故の痕跡をそのまま放置しないこと
事故が起きた場合、床や壁などに体液や血液が付着し、汚れや臭いが染みついてしまうこともあります。遺体の発見が遅れた場合は汚染が広がってしまう可能性も高く、臭いを完全に取り除くには清掃だけでなく床や壁などの部分的な解体が必要になることもあります。
事故の痕跡を放置すると原状回復のための費用もかかるため、なるべく早く対処するのがおすすめです。また、購入検討者が物件を見に来たとき、事故の痕跡が生々しく残っているとマイナスな印象を与えかねません。事故物件の痕跡は放置せずに早めにハウスクリーニングや特殊清掃を行い、状態を改善させましょう。
ただし物件を買取してもらう場合は、買取業者が特殊清掃などもあわせて引き受けてくれるケースもあるため、清掃を進める前に確認してみると安心です。
業者によって売却価格が異なること
事故物件は特殊な物件です。不動産業者によっては事故物件の取り扱いの実績がない、もしくは取り扱いをしないケースもあります。
さらに、事故物件を取り扱う業者であっても、それぞれ実績や持っているノウハウに違いがあります。査定額の出し方にも違いがあり、同じ物件であっても、依頼する業者によって売却価格に違いが出る可能性もあるのです。
事故物件の取り扱い実績が豊富な業者であれば、通常のハウスクリーニングとは異なる特殊清掃の業者の紹介や、特殊清掃自体を請け負ってくれるなど売却をサポートしてくれることもあります。
事故物件を少しでも高く売却するコツ
通常の物件の相場よりも安くなる事故物件ですが、できるだけ高く売却したいと考えることもあるでしょう。こちらでは、少しでも高く売るコツを7つご紹介します。
可能な限り原状回復しておく
事故の痕跡はネガティブな印象を与える要素になります。ハウスクリーニングや特殊清掃をして汚れや臭いを取り除き、破損した箇所は修復するなど、いかにも事故物件という見た目にならないように原状回復しておくことがポイントです。
さらに、壁紙やフローリングの張り替えや、外装を変えてリノベーションすることで、ガラリと印象を変えられます。ただしあまりに費用をかけすぎると赤字になるリスクもあるため、バランスを見て判断することが必要です。
不動産鑑定士に価格鑑定を依頼する
事故物件の売却相場を知っておくことで、安く買いたたかれることを防げます。一括査定サイトなどを利用するとおおよその相場を知ることはできますが、より確実に相場を知るには不動産鑑定士に価格鑑定を依頼する方法があります。
不動産鑑定士とは、さまざまな条件や環境を考慮して不動産の適正な価格を判断する専門家です。そのため、不動産鑑定士によって算出された価格は影響力が強いとされています。業者から提示される売却価格が低いかどうかの判断基準となり、価格交渉の材料にもなるでしょう。ただし、不動産鑑定士に価格鑑定を依頼するための料金が必要である点には注意が必要です。
不動産業者を回って売却相場を知る
複数の不動産業者に物件の査定額を出してもらうことで、売却価格の相場が分かります。業者によって査定額の算出方法が異なることから、提示される価格に違いがあることも多いです。
いくつかの不動産業者から提示された価格をもとに、所有する事故物件の売却相場がわかれば、価格交渉に利用できます。最も高い査定額をもとに、価格を上げてもらえないか交渉することも可能です。
土地総合情報システムを利用する
土地総合情報システムは透明性のある不動産取引を行うことを目的につくられた、国土交通省が運営しているサイトです。不動産の取引価格や、都道府県地価調査の価格などを閲覧できます。
土地総合情報システムを利用すると、所有する事故物件がある地域における他の物件の売却価格が分かるため、おおよその相場を計算できるでしょう。たとえば他殺が起きた物件であれば通常の相場よりも30~50%ほど低い価格が目安となります。おおよその相場を知っておくことで、安く買いたたかれることを防げるのです。
更地にしてイメージを変える
事故物件は、事故や事件が起きた部屋や建物自体に嫌悪感や忌避感を抱かれるケースがあります。売却価格を少しでも高くするためには、一度更地にしてイメージを変えてみるのもひとつです。
ただ、事故物件には告知義務があり、建物を解体したとしてもその義務はなくなりません。建物の解体費用や固定資産税が高くなるリスクも考慮したうえで、不動産業者や買取業者とよく相談する必要があります。
時間を空けてから売る
孤独死や自殺、他殺などの事故の内容によっても変わってきますが、事故や事件が発生してから期間を空けて売却することで、ネガティブなイメージをやわらげる効果が期待できます。事故や事件後すぐに売却するよりも、価格の下げ幅を減らせることがあります。
ただし全国的に報道された残虐な事件などの場合は、長い年月が経過してもネガティブなイメージがぬぐえないケースもあるため注意が必要です。
事故物件専門の買取業者へ売却する
事故物件の取り扱い実績が豊富な専門業者に依頼することで、売却価格を高くできる可能性があります。事故物件の取り扱いに慣れていない、もしくは経験がない業者の場合は安く買い取られるケースや、買取自体を拒否されてしまい新たな業者を探す手間が増えることもあるでしょう。
事故物件専門の業者は、事故物件を高値で販売するノウハウや知識を持っているため、他の業者へ売却するよりも高く売ることができる可能性があります。
事故物件を売却するのに仲介と買取はどちらがよいか
事故物件を売却する場合の手段として、仲介と買取があります。それぞれのメリットとデメリットを比較し、どちらの方法がよいか検討しましょう。
仲介業者
仲介業者は、事故物件の買い手を探して売買の仲介をします。
メリット
仲介の場合、買取よりも高値で売却できる可能性があります。所有している事故物件の売却価格を仲介業者に査定してもらいますが、この価格はあくまで予想価格です。最終的にどれくらいの価格で売却するかは、売主が決めます。
つまり、仲介では希望額に応じてくれる買い手を売主が選べるのです。買い手から値下げ交渉をされることもありますが、納得できなければ売却せずに他の買い手が見つかるまで待つこともできます。
必ずしも希望額で売却できるとは限りませんが、買取よりも高値で売却できる可能性が高いのがメリットです。
デメリット
まず売却までに時間がかかることが挙げられます。事故物件でない場合でも、売却まで早くても2~3か月かかります。買い手がなかなか見つからない場合、1年以上かかることもあるのです。
また、事故物件は通常の物件よりも買い手が見つかりにくいため、価格を含めた条件を了承してくれる買い手が見つかるとは限りません。期間が長引くほど価格を下げざるを得なくなる可能性もあります。
さらに、仲介手数料を仲介業者に支払う必要があります。仲介手数料は、物件価格に応じて上限が決められており、たとえば400万円を超える物件価格の場合は「税抜きの物件価格×3%+6万円+消費税」が上限です。なお、仲介手数料は契約が成立した場合に支払いが必要です。
以上のメリット・デメリットを踏まえると、売却までの時間的な制約を受けない人や、希望の価格で購入してくれる人を長い期間かけてでも見つけたい人には仲介業者への依頼が向いています。反対に、所有する事故物件をなるべく早く手放したい人や、現金化までをスピーディに進めたい人には向いていません。
買取業者
依頼する不動産業者が、事故物件の買主となる売却手段です。買取業者と売買契約を結びます。
メリット
不動産業者が買主のため、査定から売却まで短期間で進められることがメリットです。仲介のように、査定後に買い手を見つける手間がありません。算出された査定額に納得がいけば、スピーディに現金を手にすることが可能です。
仲介の場合、物件価格に対して発生する仲介手数料が高額になることもありますが、買取では不動産業者が買い取るため直接取引となり、仲介手数料がかかりません。
さらに、買主が宅建業者であれば売主の契約不適合責任が免責となるのが一般的であり、トラブルが起きにくいのもメリットです。契約不適合責任とは、売却した家を引き渡したあと、告知していなかった欠陥や問題が見つかった際に、損害賠償や契約の解除、代金の減額などを請求されるものです。
ただし、重大な欠陥を隠していた場合は別です。くれぐれも事故物件であることを隠して買取業者に売却することはやめておきましょう。
デメリット
スピーディな売却が可能である一方で、一般的に仲介よりも売却価格が低いことがデメリットです。通常の物件の場合、市場価格よりも20~30%ほど安くなるとされています。買取業者が提示した査定価格がそのまま売却価格となるため、価格設定の自由度は低いと言えます。
ただし、事故物件は特殊な事情を抱えた物件です。仲介では買い手がなかなか見つからないケースもあり、売却がスムーズにいかずに、結局価格を下げることになる可能性もあります。
買取のメリット・デメリットを踏まえると、事故物件をなるべく早く売却したい人や仲介手数料を支払いたくない人、売却後の契約不適合責任などのトラブルを避けたい人は、買取業者への依頼が向いています。一方で、一般的な市場価格よりも安い価格で買い取られることに納得できない人、時間をかけてでも納得のいく価格で売却したい人には向いていません。
事故物件専門の買取業者を選ぶ際のポイント
インターネット上で事故物件の買取業者を調べるといろいろな業者が表示されるため、どの業者を選べばよいのか迷うこともあるでしょう。こちらでは、買取業者を選ぶ際に知っておきたいポイントを5つご紹介します。
買取実績が豊富か
買取業者の公式サイトでは、過去の買取実績を公開しているケースも多いです。豊富な買取実績があれば、事故物件の売却に関する知識やノウハウが蓄積されており、さらには事故物件の売却に慣れている可能性が高まります。事故物件の売却を依頼するなら、実績のある業者がおすすめです。
実績を見る際には、自分が所有する物件のエリアが対象かどうかもあわせて確認しましょう。実績数や過去の買取実績の金額、お客様の声なども参考になります。
どのような事故物件でも買い取ってもらえるか
一口に事故物件と言っても、孤独死や自殺、他殺などさまざまな要因があります。中でも他殺による事故物件は嫌悪感を抱かれやすく、相場よりも大きく価格が下がる、買取自体を断られるという可能性もあります。
過去の買取実績をよく見て、孤独死や自殺、他殺といったさまざまな事故物件の種別に対応しているかどうかも注目してみましょう。
特殊清掃からお祓いまで請け負ってもらえるか
事故物件を買取してもらうには、通常のハウスクリーニングとは違った特殊清掃が必要になるケースもあります。また、お祓いをすることで、買い手の嫌悪感をやわらげる効果も期待できます。
売主自らが、特殊清掃をしてくれる業者やお祓いの依頼先を探すのは負担になるでしょう。そのため、特殊清掃やお祓いまでサポートしてくれる買取業者がおすすめです。
最短即日で現金化できるか
仲介よりも現金化までがスピーディであることは、買取のメリットのひとつです。ただ、買取業者によって現金化までの日数に差があります。多くの業者が、契約から現金化まで1週間以内をめやすとしている中、最短即日で現金化してくれる業者もあります。現金化までをスムーズに進めたい場合は、最短即日現金化が可能な業者を選ぶとよいでしょう。
専門家と提携しているか
事故物件の売却にあたっては、法律の観点が必要なケースや、資産価値を高めるためにリノベーションを要する場合があります。場合によっては、遺品整理や相続手続きなどの問題が生じることもあるでしょう。
弁護士やリノベーション業者、清掃業者などの専門家と提携している買取業者であれば、事故物件の売却をスムーズに行えるうえ、高い物件価格で買い取りしてもらえる可能性も高まります。買取業者を選ぶ際は、専門家との提携状況もチェックしましょう。
事故物件の売却に役立つ知識
最後に、事故物件を売却するにあたって知っておくと役立つ知識を4つご紹介します。
告知義務の必要がある物件とは?
人の死に関わる事故や事件が起きた物件のうち、告知義務があるのは自殺や他殺、火災によって人が死亡したケースです。マンションなどの集合住宅では、事故や事件が起きた住戸に限らず、住人が日常的に使用する共用廊下や、階段などの共用部で起こったことも対象となります。
また、事故物件を解体して新たに住宅を建設した場合でも、事故物件であることの告知義務がなくなるわけではありません。そのほかにも、買主から問われた場合や、宅建業者が買主に伝えておくべきと判断したケースなどにおいても告知義務が生じます。
告知義務があるにもかかわらず、伝えずに契約した場合は、損害賠償を請求されるなどのリスクがあるため注意が必要です。
告知義務の必要がない物件とは?
人の死に関わる事故や事件が起きたすべての物件に告知義務があるわけではありません。亡くなった理由が、老衰などの自然死や日常生活における不慮の事故の場合、告知義務はないのが基本です。不慮の事故とは、住居内の階段からの転落死や入浴中の溺死といった日常生活で起こり得る事故が該当します。
ただし、自然死などであっても遺体の発見が遅れて腐敗が進み、損傷が激しいケースなどは特殊清掃が必要で、告知義務が生じる可能性があります。
また、隣接する住戸や、普段は使用しないマンションの共用部での死亡の場合、自殺や他殺を含めて告知義務が生じないとされています。
告知義務の期間は?
告知義務がある場合、事故の内容や発生場所、いつ事故が起きたのかといったことを告げる必要があります。ただ、この告知義務が生じる期間は取引が賃貸か売買かによって違いがあります。
賃貸の場合は3年、売買であれば期間は設けられておらず、無期限で告知するように決められています。物件の売買においては、買主が負担する金額が大きいこともあり、事故について知ることは契約の締結を判断する重要な事柄であると考えられているためです。
契約不適合責任とは?
不動産における契約不適合責任とは、売買の契約において引き渡した物件が契約内容と合っていない場合に、買主に対して生じる売主側の責任のことです。給排水管の老朽化による水漏れや、雨漏りといった物理的な不都合だけでなく、事故物件であることを隠して売却することも契約不適合責任を追及される原因となります。
契約内容と合っていない場合は、損害賠償や代金の減額、契約の解除などを請求されます。契約不適合責任が生じる期限は、買主が不具合を知ってから1年以内という決まりがありますが、売主が不適合を知っていたにもかかわらず伝えない場合や、重大な過失によって伝えていなかった場合は、1年以内という期限は適用されないのです。
まとめ
事故物件の場合、通常の物件とは異なる特殊な事情を抱えているため売却相場が低くなります。自然死や孤独死の場合は、相場の10~20%ほど、他殺の場合は約30~50%下がるとされています。
売却価格を左右する要因は、もともとの不動産の価値や事故の内容、物件の状態などです。所有する事故物件の売却相場を知りたい場合は、インターネットで情報を集めるのもよいですが、信頼できる買い取り業者に所有する物件の査定を依頼してみてはいかがでしょうか。
成仏不動産は、オーナー様が事故物件を適性価格で売却するサポートを行う会社です。
「本来の価値を正しく査定し、適切な供養や清掃、リノベーションをとおして価値を甦らせる」という、事故物件の専門家でなければできないことに尽力しております。
事故物件の売却に不安がある方は、業界経験が豊富でノウハウのある成仏不動産にご相談ください。事故物件だからといって諦めずご相談いただければ、事故物件のお悩み解消を幅広くサポートできます。ぜひ、お一人で悩まずにお気軽にご相談ください。