事故物件は買取と仲介、どちらがベスト?各特徴と事例で考えよう
2023年7月29日
所有していた物件が事故物件になってしまった場合、投資した額を考えると「少しでも高く売却する方法が知りたい」と思うのではないでしょうか。
そこで出てくる問題が「事故物件を売却するには買取と仲介のどちらがよいのか」という点です。
買取・仲介のどちらを選ぶかによって、査定金額に大きな差が出ることがあります。
買取と仲介のそれぞれの特徴をよく理解し、事故物件をよりよい条件で取引するためのベストな選択を一緒に見つけていきましょう。
事故物件とは何か、正しく理解しよう
そもそも「事故物件」について正しく理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか。
物件の取引などを検討する前に、まずは事故物件の定義を確認していきましょう。
事故物件とは、いわゆる心理的瑕疵物件のことを指します。
主に人の死が関連している物件であることが多く「自然死」「殺人」「自殺」などによって人が亡くなったケースがほとんどです。なかには火事などの災害が起こった物件も含まれます。
事故物件と見なされるには、不動産取引を行う上で不快感がある物件であることが重要なポイントです。
よく事故物件は「訳あり物件」と混同されることがありますが、この2つは似て非なるものです。事故物件は心理的瑕疵がある物件に限られます。しかし、訳あり物件は、心理的瑕疵物件・物理的瑕疵物件・法律的瑕疵物件のいずれかに該当したものをいいます。
つまり事故物件は、訳あり物件の中に含まれると考えてよいでしょう。そのため、訳あり物件といわれたとしても、必ず人の死が関連した物件であるとはいえません。
事故物件とはっきりいわれた場合のみ、なんらかの形で人の死が影響しています。しかし、人の死が関係しているとはいえ、事故物件と見なされないケースもあります。
それは「自然死」の場合です。
たとえば、お年寄りが家族に看取られながら亡くなった物件の場合は、寿命として扱われ事故物件とは判断されません。しかし自然死とはいえ、お年寄りが孤独死してから数ヶ月が経過して発見され、清掃業者が必要な場合は、事故物件と捉えられることがほとんどです。
事故物件となるか否かは、購入希望者が抱く印象によって分けられるため、その境界線は曖昧な部分があります。
事故物件の売却には買取と仲介の選択肢がある
事故物件の売却を検討する上で押さえるべきポイントは、売却方法には「買取」と「仲介」の2とおりがあることです。
不動産買取とは、不動産買取会社に直接を買い取ってもらう方法です。一方、不動産仲介は、買主を探すために価格査定をしてもらい、媒介契約を結んだ後に広告を出して買主を探す方法を指します。
仲介の場合は、不動産の売主と買主の間に不動産会社が仲介として入ることによって、売買契約をまとめるようになります。仲介では買主を探すために広告を出したり、内見の対応を行わなければなりません。
対して、買取では不動産会社が買主となるので、売主が不動産買取会社と価格や条件などを直接交渉することになります。間に不動産仲介業者が入らないため、仲介手数料がかからなかったり、長期間に及ぶ販売活動を省略できます。
事故物件に関してはどちらもメリットやデメリットがあるので、事故物件の内容によって売却方法を検討した方がよいでしょう。
事故物件というだけで「売却できれば儲けもの」ととらえ、相場より不動産の査定価格が低くなっても良しとする人は少なくなりません。しかし、買取か仲介かによって査定価格が左右されることがあるので、投げやりにならず慎重に検討するようにしましょう。
不動産買取とは
不動産買取とは、売主が直接不動産会社と交渉して売却する方法です。
事故物件の売却方法として買取を選択した場合、どのような流れで進むのかについて詳しく解説します。また、メリットやデメリット、不動産買取が向いている事故物件のケースも紹介しますので、早速チェックしていきましょう。
不動産買取の流れ
まずは不動産買取会社に連絡して事故物件の査定を依頼することになります。
・事故物件となった経緯
・事故物件の物理的な状態
・事故物件の間取り、築年数
を具体的に伝えると、その後がスムーズに進みます。
具体的な情報がわかれば、買取会社はその場で大まかな査定価格を提示してくれることもあるでしょう。注意したいのは、事故物件だからといって納得のいく査定価格でなくても「しかたないか」と判断してしまうことです。
買取会社の提示する査定価格に不満がある場合には、正直に意見を伝えてみるようにしましょう。
売買契約時は、担当者から重要事項の説明を受けた後に署名・捺印を行います。契約が完了したら、定められた期間内に買取代金が支払われるでしょう。
買取りされた物件は、不動産会社によるリフォームなどで資産価値を高めた上で市場に出されます。事故物件の取り扱いに長けた業者は、弁護士やリフォーム業者のつながりや、独自のルートを持っているので、事故物件相場より高く売れる可能性を秘めています。
不動産買取のメリット
事故物件を買取業者に依頼するメリットは、物件をすばやく現金化できることにあります。
最短で2〜3日で売却益を得られる場合もあるので、事故物件を早めに手放し、現金がほしい方にはメリットの大きい売却方法だといえます。
また、事故物件では欠かせない特殊清掃などせずにそのまま手放せることがあるのも魅力の一つです。事故物件には臭いや汚れなどの痕跡が残っているケースが多く、売主は精神的な負担も大きくなります。
事故物件は特殊清掃やリフォームを実施しない限り、売却はかなり難航します。しかし業者に買取を依頼すれば、買取後に自社でそのままリフォームや特殊清掃を行ってくれることが多いのです。
さらに、買取業者は仲介業者のようにチラシや広告で不動産を宣伝することはないので、近隣住民に知られずに買取の手続きを踏むことができます。※業者が買取った後、リフォーム等を施し再販売する際には、広告掲載を行うことがあります。
買取後は事故物件に関わるトラブルなどの責任を一切負わずに済むことも、買取業者を選ぶメリットといえるでしょう。
不動産買取のデメリット
メリットだらけに思われる不動産買取ですが、もちろんデメリットもあります。
しかし仲介と比べたとき、そのデメリットはたった1つしかありません。
それは、仲介で売却するよりも買取の方が価格が安くなりやすいことです。
買取の場合は買取業者が事故物件を買取った後、リフォームや特殊清掃にかかる費用が差し引かれた買取価格が提示されることになります。
たとえば、買取業者で200万円かけて特殊清掃とリフォームを行ったとします。さらに、事業利益も上乗せになります。ここでは仮に100万円と設定しておきましょう。仲介は1000万円で売れるものだった場合、買取は特殊清掃とリフォーム費用200万円と事業利益100万円を差し引いた700万円で買取りしてもらうことになります。
※上記はあくまでも仮の数字となります。
このように、結果的にはどちらに依頼しても収支に影響はないように思われますが、仲介よりは手元に入る金額は少額になるパターンがほとんどです。しかしどちらにせよ特殊清掃やリフォームが必要な状態の不動産を売却する場合には、各施工は必須のため、買取価格からそのような費用を負担していると思えば、余計な手間が省けるというメリットになるかもしれません。
さらに、リフォーム業者や特殊清掃業者を売主個人で手配した場合、買取業者が施工するよりも費用が高くつくケースもあります。普段から事故物件対応をしている業者の場合、安い業者との繋がりがあったり、特別値引きをしてもらっていたりすることがあるためです。
不動産買取が向いているケース
不動産買取を選択した方がよいケースは、二つあります。
一つ目は、すぐにでも事故物件を手放したい場合。二つ目は、特殊清掃やリフォームを施さなければならないような状態の不動産の場合です。
一つ目のすぐにでも事故物件を手放したい場合、
相談をしてから最短2~3日での売却が叶うので、手持ちのお金に余裕がなかったり、管理の手間から早く解放されたい人にはメリットが大きいでしょう。
また、事故物件の中に汚れやゴミが残っているため、特殊清掃や残置物処分も依頼したい場合は買取業者にお願いした方がよいでしょう。たとえば室内に体液が残ったままだと、時間の経過とともに建物の影響が拡大していきます。いかに早く室内をキレイにできるかが不動産価値と取引のスピードの速さには大切です。
このような面倒に思える特殊清掃や残置物処分を買取業者が担ってくれる場合もあるので、まずは相談してみましょう。
二つ目の特殊清掃やリフォームを施さなければならないような状態の不動産の場合は、それら施工を行わないと仲介で売却することは難しくなってきます。購入希望者からすると、できるだけキレイで、住んだ後のイメージが湧くような不動産を買いたいと願うのが一般的です。臭いや汚れ、ゴミがある状態の場合、最悪購入希望者が内見すらできない可能性が出てきます。
また、売主でリフォームをして仲介で販売活動をする場合、リフォーム内容が購入希望者のイメージと合致しなければ選ばれづらくなり、販売期間も長くなるでしょう。
事故物件を急に所有することになってしまった方にとっては、買取業者に相談することですべての悩みが解消される可能性があります。「事故物件をどう処理すればいいかわからない」と頭を抱えている人は、買取業者に依頼しましょう。
不動産仲介とは
不動産仲介では、不動産会社に価格査定をしてもらい、媒介契約締結後に広告やチラシを出して買主を探してもらえます。
事故物件の買取には多くのメリットがありましたが、不動産仲介には不動産買取と比べてどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。手続きの流れを含め、不動産仲介が向いている事故物件のケースも深掘りします。
不動産仲介の流れ
事故物件の査定をお願いするときは、そのような物件の取り扱いに慣れた仲介業者を選ぶことがポイントです。事故物件の取り扱いに不慣れな業者だと、心理的瑕疵を原因として大幅な値下げをいい渡されることが度々あるので、必ず事故物件の相場を確認した上で相談するようにしてください。
査定価格に納得ができたら、仲介業者と媒介契約を結び、販売活動をスタートさせます。
販売活動期間中は、チラシや広告で購入希望者を探したり、内見対応を行います。
購入希望者から価格や条件交渉が入った際は、売主側にもある程度の知識や情報が必要であることは忘れないようにしましょう。諸条件に納得できる購入希望者が現れたら、いよいよ売買契約を締結します。
契約後は決済を行い、完了したら不動産は売主から購入希望者へ引き渡され、同時に売主は買主から売買代金を受け取ります。
このとき、売主は仲介業者に「仲介手数料」を支払わなければなりません。買取の場合では発生しなかった費用になりますので、覚えておきましょう。
不動産仲介のメリット
不動産仲介で事故物件を売却するメリットは、売却価格の高さにあります。
仲介で売却すると、事故物件の売却価格を売主自身が設定できることが大きなポイントでしょう。
しかし、売主が自由に価格を設定できるからといって、残念ながら必ずしもそのままの価格で買主が見つかるとは限りません。
買主さえ見つかれば売主の希望価格で売却できますが、現実はそう上手くいかないのです。「時間をかけてでも希望する価格で売却したい」という人は、自由に設定した価格で事故物件を売却できるチャンスは巡ってくる可能性はあります。
ただ、事故物件は購入希望者が少ない不動産の一つです。現実を見てみると、不動産売買では値下げをしなければ買い手が見つからないことも珍しくありません。そうした現実を考慮した上で、それでも希望価格で事故物件を売却したいという方は、買取業者に依頼するよりも高い価格で取引できます。
不動産仲介のデメリット
不動産仲介のデメリットは、不動産買取に依頼するよりも多いのが実情です。
まず、仲介業者に売却できたとしても、そこからさらに買主を探す必要があるので、すぐに売却益を得られるケースは数少ないのです。事故物件というだけあって、売却まで時間がかかりやすく、売主自身が購入希望者などの内見に応対しなければなりません。
その際は「事故物件である」という告知義務を果たす必要があるので、伝え方も工夫しなければ買い手はつきにくくなってしまいます。
また、事故物件を希望価格で高く売却するには、特殊清掃やリフォームが欠かせないケースがほとんどです。買取業者の場合は相談するだけで特殊清掃やリフォームに加え遺品整理なども手配してくれますが、仲介業者の場合は相談をする前に自分自身ですべて解決しなければならないケースが多いのです。
凄惨な現場だったときには売主の労力の他、精神的な負担もかなり大きくなります。さらに仲介業者に売却を依頼しても、売却後に建物の物理的な瑕疵、たとえば雨漏りやシロアリの害、設備の不具合が発覚した場合、費用負担を求められるリスクも潜んでいます。
買取業者に事故物件を扱ってもらえばそのようなリスクを抱える必要はありませんが、仲介業者の場合は別です。数々のデメリットがありつつも、売却価格は自由に設定したい方は仲介業者の方がストレスなく相談できるかもしれませんね。
不動産仲介が向いているケース
不動産仲介が向いている事故物件のケースは、できるだけ高く売却したい場合です。
また、その可能性が少しでも感じられる事故物件であれば、不動産仲介への依頼で問題ないでしょう。たとえば、比較的物件の心理的瑕疵が軽い自然死や、建物状態がよい事故物件であれば、希望は見えるかもしれません。
しかし、それ以外の場合は仲介業者ではなく買取業者に相談した方が、より多くのメリットを得られます。「時間がどれだけかかってもいいから、自分で自由に設定した価格で売却したい」という人は、不動産仲介に相談しましょう。
事故物件の買取業者とは?
事故物件の取り扱いに長けた買取業者のなかには、公式サイトなどにその旨を掲載していないところもあります。形態としては普通の不動産会社となんら変わりないのです。
しかし、事故物件の買取・売却経験が豊富な業者に依頼すると、大きなメリットが得られます。どのようなメリットが得られるのかを詳しくチェックしていきましょう。
売り出し方・見せ方のノウハウがある
事故物件の取引は、通常の不動産売買を依頼するよりも厳しく「事故物件だから売れたらそれでいい」と思っている人は少なくないかもしれません。しかし、そのようなスタンスのまま居続けると、せっかくの取引で損をする恐れがあります。
また「大手だから」といった理由だけで一般的な不動産会社に依頼してしまうと、なかなか買い手がつきづらいというデメリットを抱えやすくなる傾向があります。
事故物件の取り扱いに慣れた業者に売買をお願いすれば、通常の不動産会社と比較してスピーディーに取引してくれるところがほとんどです。
事故物件を取り扱う経験が豊富な業者は、特定の条件なら気にならないという人に響く伝え方をはじめ、紹介、宣伝の仕方を知っているので、買取したあともスムーズに販売できるのです。
売り出し方や見せ方のノウハウが整っていない場合は、事故物件の買取に難航するケースが多くなっています。期間が長引けば長引くほどストレスも溜まっていくので、売り手側の気持ちを考慮すると、やはり経験豊富な業者に依頼した方がよいでしょう。
それは、買い手の気持ちにも大きく影響します。事故物件をどう捉えるかは買い手の気持ち次第なので、その気持ちの問題をうまく解決できるところはかなり優れた業者だといえます。
詳細な査定を行ってくれる
一般的な不動産会社と、事故物件の取引に長けた不動産会社に依頼する違いは、詳細な査定を行なってくれるかどうかという点にも見られます。
事故物件専門でない不動産会社に依頼する場合、事故物件に対する知識・経験が少なく、査定が適切に行えてない可能性を考慮しなければなりません。買取をしてくれても相場よりもかなり低い価格を提示されたり、あるいは「事故物件は取り扱えない」といわれたりすることもあるでしょう。
しかし、事故物件の取り扱いに慣れた不動産会社は、経験やノウハウが豊富なので詳しい条件をきちんと見てもらえます。そのため、極端に悪い査定になることはなく、物件によっては事故物件の相場に比べると高く買い取ってもらえるケースもあります。
事故物件の見積もりを不動産会社に依頼し、まだ納得のいく査定価格を提示してもらえていない人は、事故物件の取り扱い経験が豊富な業者に依頼すればすぐに解決するかもしれません。これから査定をお願いする方は、事故物件のそれぞれの相場をよく調べてから査定を依頼しましょう。
事故物件を所有している人は、該当の物件を必要以上に低く見積りがちです。プロに任せれば詳細に査定を行なってくれるので、損しないためにも、相場を押さえたうえで見積もりを依頼してくださいね。
買取までがスムーズ
事故物件の取り扱い経験が豊富な業者だと、物件の買取が非常にスムーズに進みます。
事故物件でない物件を売買するとしても、購入希望者を募る期間を考えると数ヶ月単位の時間が必要になります。そのため、一般的な不動産会社に事故物件の買取を依頼すれば、さらに長い期間がかかってしまうことは想像に難くないといえるでしょう。
一方、事故物件の取り扱いに慣れた不動産会社であれば、想定の期間よりも短く手続きを行なってくれるはずです。場合によっては、依頼してから数日、あるいは数週間ほどで買取を行なってくれることも。
事故物件の取り扱いに積極的な業者は、実地調査に注力してスピーディに査定を行うため、早く取引が完了するケースが多いのです。買取までがスムーズに進めば、まとまった代金もすぐに支払われることになり、安心にもつながります。
事故物件の買取業者の選び方
事故物件を買い取ってもらうには経験豊かな業者に依頼することが大切ですが、選び方を間違えると「あまり効果は感じられなかった」と後悔する恐れもあります。
ここで、事故物件を買い取ってもらう際の業者の選び方を見ていきましょう。
業者を選ぶポイントには、以下の3点があります。
実績数で選ぶ
事故物件を取り扱ってくれる業者を探すときは、何よりも実績数がどれくらいあるのかで選ぶようにしましょう。
実績数は不動産業者のスキルをそのまま表します。事故物件を取り扱う経験やノウハウも揃っているところが多く、きっと適正価格で買い取ってくれるでしょう。更新が追い付いていないなどの理由で、実績を公式サイトに掲載していないところもあります。
そのため、気になる業者を見つけたらまず実績数や取り扱い件数に注目し、掲載がない場合には問い合わせて相談してみるのもおすすめです。
また、ノウハウがあるという点でいえば、買取数以外にも任意売却や空き家活用実績など、好条件とはいえないような物件をベストな条件で販売したことのある会社などであれば期待できるかもしれません。
事故物件をよい形で扱ってもらうには、不動産会社にある程度のノウハウや経験を求める必要があります。実績数に気になる点がある場合は、業者のスキルを見極めるためにも一度問い合わせてみるとよいでしょう。
サポート力で選ぶ
事故物件の取り扱いに長けた業者はノウハウや経験があるだけでなく、サポートに手厚い傾向があります。
所有していた物件が急に事故物件になってしまった場合、もしくは事故物件を所有しなければならなくなった場合は、買い取ってもらうためにどのような対応を取ればよいのか混乱する人は少なくありません。
通常の不動産業者は事故物件を取り扱いたくないという本音があるので、頼りにならないこともしばしばあります。しかし、事故物件を積極的に取り扱ってくれる業者は買い取ってくれるまで物件の所有者がどのような対応をすべきかなどを提案してくれるケースもあります。
物件をより高く売るために更地にすべきか、そのまま物件として残すべきかなどのアドバイスは、とても役に立つでしょう。また一般的には、事故物件を取り扱うにあたってゴミの片付けやクリーニングについても相談できます。
とくに事故物件の場合は特殊なハウスクリーニングが必要になるので、清掃業者選びに加えゴミの片付けなども考えると、労力だけでなく精神的な負担もかかります。しかし、事故物件に強い不動産業者は、依頼者の負担を軽減するための充実したサポートを用意しているので、安心して任せることができますよ。
ノウハウを共有してくれるところを選ぶ
事故物件を取り扱う業者を選ぶ際に「どんなサポート力があるのかが大事」と解説しましたが、それに加えて不動産業者が持つノウハウを共有してくれることも重要な基準となります。
サポート体制が整っているということは、ノウハウも揃っているということです。より高く物件を売るため、ノウハウのある業者は買取までに必要なことや、よりよい条件で買取するために依頼者がすべきことを教えてくれるのです。
優良な業者は依頼者の視点に立って、ノウハウをもとにさまざまなアドバイスをしてくれるので、依頼者にとってはとても相談しやすい存在になるでしょう。業者は事故物件を好条件で取引するため、適切なアドバイスや提案をしてくれることもあります。
なかには「事故物件だから売れないだろう」と思っていたような物件もノウハウを共有してもらったおかげで、相場よりも高く買い取ってもらえたという例もあるほどです。
事故物件の買取業者を選ぶ際に注意すべきこと
事故物件の買取業者を選ぶときには、2つのポイントに注意しなければなりません。
注意点をおざなりにしてしまうと、「事故物件に長けた不動産業者を選んだのに、あまりよい結果にはならなかった」と後悔してしまう恐れもあるのです。
せっかく業者を選ぶのならば、心地よく売買ができるような業者を見極める必要があります。どのような点に注意すべきか、深掘りしていきましょう。
取り扱い実績・経験
ここまでで繰り返しお伝えしていますが、事故物件の買取業者は取り扱い実績と経験が重要です。
なかには、会社自体が新しくても経験豊富な人材が揃っているといった例外もありますが、やはり会社全体でこれまでに取り扱った事故物件の件数があれば、そのぶんノウハウも蓄積されていると考えられます。
ノウハウは、会社が事故物件を買い取り、売却するフェーズでも活かされます。
適正価格で売却できる力を持っているからこそ、買取においても高品質なサービスを提供できるのです。
担当者の対応にも注目しよう
業者を選ぶ際は、実績やノウハウだけを重視しても失敗する恐れがあります。それに加えて、担当者の対応も重要な要素の一つです。
ただでさえ事故物件はセンシティブなものです。そのため、担当者との相性が合わなければ、嫌な思いをして買取まで進まなかったケースも少なくありません。業者単体で判断するのではなく、担当者の経験やノウハウ、印象、対応力なども重視しましょう。
自分自身が心から信頼できる担当者に出会えるまで、事故物件の売買は避けることをおすすめします。
事故物件を少しでも高く買取してもらうためには
事故物件は買取してもらえないのではないかとお悩みの人は、まだ諦めないでください。
一般的に不動産売却を行う上で押さえるべきポイントは、物件の相場価格を知ることや、複数の不動産会社へ査定を依頼することが挙げられるでしょう。
不動産買取で高く買取してもらうために必要な対応を調べることも、もちろん重要です。しかし、事故物件を少しでも高く買取してもらうには、通常のポイントに加えて次のようなポイントにも気を付ける必要があります。
事故を感じさせないようにする
事故物件には、事故の痕跡が残っていることがあります。
物件をより高く売るためには、事故・事件の痕跡をなくすことが必要不可欠です。
臭いや汚れがまだ残っている状態では相場よりも低い価格で査定されてしまうことは避けられません。内見する人にとっても、事故・事件の痕跡が感じられるような物件には警戒心がさらに働く恐れもあるでしょう。
事故・事件による臭いや汚れは、時間が経過するほど取れにくくなるものです。その分費用もかさむようになるので、痕跡が残っている場合は一刻も早く専門の清掃業者を入れるようにしてください。
事故の痕跡を拭い去る際に大切なのは「隠す」という意識ではなく、キレイに清掃するということです。購入希望者が抱くネガティブなイメージをどれだけ減らすかが重要なので、物件に漂う暗い雰囲気を払拭するような工夫が求められているといえます。
従来より明るい雰囲気となるようリフォームする、風通しがよくなるよう通路に物を置かないなどの工夫を行いましょう。
更地にする
事故物件を高く売りたい場合、単に「更地にすればいい」と考える人もいますが、更地にする場合は不動産会社と相談してから行うようにしてください。
事故物件を取り壊したからといって、告知義務が消えるわけではありません。事故物件を売買する際の争点となるのは、「購入希望者などへの心理的瑕疵がどれほど影響するか」ということです。
事故・事件があった場所であるだけで人に与えるイメージはかなり下がるので、通常の相場よりは低い査定価格が提示されるでしょう。しかし、中には更地にする場所の立地がよければ、売れやすくなるケースもあります。
とくにコインパークや駐車場などは、立地のよさを優先するので事故物件のあった土地だとしても買い手がつく可能性が高いのです。たとえば、「駅前」「オフィス街」「観光地」「商業地域周辺」「飲食店やサロンなどの周辺」などにある物件は、好条件で取引されるかもしれません。
期間を置く
「事故物件をなるべく好条件で売りたい」という人には、ある程度期間を置くこともおすすめします。事故物件を少しでも高く売るには、購入希望者が抱くイメージを軽くするためにすべきことを考えるようにしてください。
しかし、期間を置いたとしても告知義務はなくならないので注意しましょう。期間に関しては、不動産業者に相談してから決めたほうがよいかもしれません。事故・事件の内容によって数週間のケースもあれば、数ヶ月置いたほうがよい場合もあります。
できるだけネガティブなイメージを払拭できれば、買取価格は上がる可能性があるでしょう。
【事例別】事故物件は不動産買取と仲介どちらを選ぶべきか
事故物件は買取と仲介、どちらを選択するのがベストなのかまだ迷われている人のために、事例別のパターンを紹介しますので、ぜひ参考としてお役立てくださいね。
「可能な限り高く売りたい場合」「可能な限り早く売りたい場合」「売却を近所に知られたくない場合」に分けて考えていきましょう。
可能な限り高く売りたい場合
事故物件をできるだけ高く売りたい人は、「不動産仲介業者」がおすすめです。
不動産仲介に相談すれば、事故物件ということもあり購入希望者から値下げを求められることもありますが、基本的には自分で自由に設定した価格で取引できます。ただし、事故物件は敬遠されがちな不動産でもあるので、結果的に値下げをしないと買い手がつかないといったケースは珍しくありません。そのため、売却にはある程度の時間を要することは理解しておいた方がよいでしょう。
可能な限り早く売りたい場合
事故物件をなるべく早く売却したい人は、「不動産買取業者」がおすすめです。
不動産買取業者に相談すれば、数日で買い取ってもらえるケースがほとんどで、買取のスピードの速さは抜群といってよいでしょう。
「特殊清掃とリフォームを早く実施して物件を手放したいが、お金に余裕がない」という人も、買取業者にすぐ相談すれば買取と同時に特殊清掃とリフォームなどを引き受けてくれる場合もあるので、一度相談するだけですべての心配が解決されますよ。
買取金額には特殊清掃やリフォームなどの費用も含まれているので、余計な手間をかけずにスムーズな売却が叶うでしょう。
売却を近所に知られたくない場合
近所に事故物件の売却を知られたくない場合は、「不動産買取業者」がおすすめです。
仲介業者に売却を依頼すると、チラシや広告で事故・事件があった物件を宣伝し、購入希望者を募ります。そのため、事故物件を売却するという事実を近所の人に知られてしまい、暮らしが脅かされるリスクもあるのです。最悪のケースでは、誹謗中傷を受けることもあり得るでしょう。
安全に、波風立てず売却をしたいのならば、仲介業者よりは買取り業者の方がベストです。買取業者では、買取って再販売するまでの間、表だった宣伝は行いません。事故物件の取り扱いに慣れた買取り業者は、独自の再販ルートを持っているので、わざわざ宣伝せずとも利益を出せるノウハウが整っているのです。
売主と買取者の話し合いだけで契約を結びます。そのため、近所の人にも知られることなく、事故物件を売却できるでしょう。
まとめ
事故物件の売却は、売主が事故物件を売却した後にどのような結果を望んでいるのかによって大きくわかれます。
買取・仲介のどちらにもメリットやデメリットはありますが、事故物件の売却を考えるのならば、買取選択したほうが得られるメリットは大きいでしょう。
できるだけ高く売りたい場合は仲介業者の方がよいかもしれませんが、結局特殊清掃やリフォームが必要な場合は、その費用は支払うことになります。そのため、あらかじめ必要な費用が含まれた価格を提示してくれる買取業者を考えると、仲介業者に依頼して得られる利益は少ない傾向があるのです。
事故物件の売却でお悩みを抱えている人は、ご自身が所有する物件の内容と照らし合わせながら売却方法を選ぶようにしましょう。