【山村弁護士執筆】事故物件とはどのような不動産?
特殊清掃が終わった後の不動産、果たしてこれは「事故物件」なの?そもそも「事故物件」てなに?そんな疑問を不動産専門の弁護士が解説します。※本記事は、山村法律事務所の山村暢彦弁護士の書き下ろしによるものです。
事故物件とはどのような物件を指すのか?
事故物件というのは法律上明確な定義があるわけではありません。
一般的には購入または賃貸契約を締結する時に、契約を敬遠する何かしらの事情がある物件のことを指します。
この事情について、おおまかに分けると「心理的瑕疵」、「物理的瑕疵」、「法律的瑕疵」の3種類が挙げられます。
■心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、入居した人が心理的に負担や恐怖を感じてしまうような事実のことです。
具体的には過去に物件で自殺、殺人、事故死、重大な事件が起きたなどという場合が挙げられます。
また、これまでは自然死や病死は「事故物件」に該当しませんでしたが、発見まで時間が経過したなど、状況によっては事故物件に該当する事例も存在します。
■物理的瑕疵
物理的瑕疵とは建物の設備に不具合がある場合を指します。
具体的には配管が壊れていて水漏れがある、雨漏りがする、シロアリが発生して躯体が腐食しているなどです。
■法律的瑕疵
法律的瑕疵とは主に建築基準法や消防法、都市計画法に違反している物件を指します。
建物の安全基準を満たしていない、接道義務、容積率・建蔽率が基準に適合しない場合が想定されます。
事故物件を売却するときは内緒できる?
事故物件を売却する時に意図的に事実を隠蔽するのはNGです。
また、告知義務の範囲についても、マンションやアパートであれば隣室や上下階も含まれます。
告知をしないことについて罰則が定められているわけではありませんが、大阪高裁平成26年9月18日の判決では、マンションの借主に対し以前の居住者が自殺したことを隠して賃貸借契約を締結したところ、のちに新たな借り手が自殺の事実を知ることとなり、賃貸借契約の費用・引っ越し費用・慰謝料などの支払いを求められ、被告であるオーナーが敗訴し、100万円以上の支払いが命じられた事例もあります。
事故物件に関してはトラブルが多く、取引のうえでは注意が必要と言えるでしょう。
専門は不動産法務、相続分野。実家の不動産トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力する。日々業務に励む中で「法律トラブルは、悪くなっても気づかない」という想いが強くなり、昨今では、FMラジオ出演、セミナー講師等にも力を入れ、不動産トラブルを減らすため、情報発信も積極的に行っている。
クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産・相続のトラブルについて、自分ごとのように解決策を提案できることが何よりの喜び。
さらに不動産・相続法務に特化した業務に注力するため、2020年4月1日、不動産・相続専門事務所として山村法律事務所を開設。
山村法律事務所
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